梔子と金木犀

雑記。基本的に思ったことを夜中に吐き出してます。時にはただのメモ。

シャガール展に行った話。

年も明けて半月が過ぎてしまいましたが、年末の話をします。


実家に帰省した際、名古屋市立美術館で開催されているシャガール展に行ってきた。端的に言うと、非常に良かった。気になる人はぜひ行ってほしい。


10年前に開催された『シャガール展 愛と夢、そして幻想』(2007年)のおかげで展覧会の楽しさを知った私はシャガールに対して思い入れが強い。シャガールは私の中では、幻想的で美しくて好きである一方で暗い画面で何を示しているのか読み取れず不安になる、というイメージだった。

「幻想的で美しい」の代表は『枝』だろう。10年前のシャガール展のポスターや図録の表紙にもなった。しかし、今回は展示されていなかった。さらに、今回の展覧会のタイトルは『シャガール展 三次元の世界』。日本ではあまり知られていないシャガールの陶器や彫刻といった立体作品を紹介する初めての試みらしい。出品作品のうち1/3が立体作品であった。


私が見ていて不安になる、いや、不安になった作品の一つに『町の上で、ヴィテブスク』がある。曇りのような色の空の下、寄り添い浮かんでいる男女。一体どういう状況なのだ、どういう気持ちになればいいのか、いやわからない、と問答をしていた。今までは。

作品に近づけない私の手を引いてくれたのは解説のパネルである。(私は解説を読んでそれを飲み込み納得してしまう人間なのだ。)そのおかげでシャガールに身近だったもの、シャガールの妻への愛、エピソードとその時の感情が作品に溢れているように思えて愛おしい気持ちになってしまった。感情豊かに見え、優しい気持ちになった。彫刻や陶器を見れば彼が心から制作を楽しみ、その作品に愛情を感じていたことがわかる。


シャガールの作品への不安な気持ちはほとんどなくなり、作品に対して今まで以上に愛を感じるようになった。図録も購入した。図録の表面は大理石のように真っ白で、『ふたつの頭部と手』をモチーフにした絵柄が型押しされている。とても素敵なのだ。もちろん中も見やすくて美しい。


ああ、この展覧会の素晴らしさ、楽しさを上手く表現できないのがもどかしい!


2/18日まで開催されている。まだ一ヶ月ほどあるので気になっている人は行くといい。シャガールが好きな人は絶対に行くべきだ。きっと自分にとって思い入れのある展覧会になるだろうから。